ぺんぎんの生態

愛なんていくらでもばらまいてやる

ラブコメ映画『ロング・ショット』が面白かった

 

 

  好きな映画聞かれたらなんて答えますか?

 

  わたしは大抵『トレインスポッティング 』または『 トゥルーロマンス』なんだけど(困らないように決めてある)、

 

  なんとなくカッコつけてるふしがなくはない。

 

  いや、もちろん、『 トレインスポッティング』は永遠にサントラ聴くくらい愛してるし、『 トゥルーロマンス』には恋愛観のすべてを学んだし、骨の髄まで好きなんだけど、

 

 それと同じくらいに『ラブ・アクチュアリー 』や『 ブリジット・ジョーンズの日記』、『 ステイフレンズ』・・・・・・ブコメ映画が大好きです。

                    

                                                🧸

 

   映画の王道がアクションやSFで、ラブコメカウンターカルチャー?そんなことはない。秀逸なラブコメが現実の見え方を変えてくれることもある。

 

 

 今日は、いま絶賛公開中のラブコメ映画『 ロング・ショット』が最高ってこと、書きます・・・

 

 

 

                                                🌤

   

あらすじ

      アメリカの国務長官として活躍する才色兼備なシャーロット・フィールド。大統領選への出馬を目前にして、ジャーナリストのフレッドに、選挙のスピーチ原稿作りを依頼する。常に世間から脚光を浴びるシャーロットと共に行動するうちに、高嶺の花と知りながら恋に落ちるフレッドだったが、越えなければならない高いハードルがいくつも待ち受けるのだった...。

                                             (Filmarksより)

監督はジョナサン・レヴィン、主演はシャーリーズ・セロンセス・ローゲン


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                                                    💘

 

    あらすじを読む限りだと「セス・ローゲンが高嶺の花、憧れの女性に恋をする」という感じかと思っちゃうし、わたしもそう思ってたけど、違った。 

  たとえば、出会うべくして出会ったふたりが~  というほうがしっくり。男主導でも女主導でもない、完璧にロマンチックなわけです。

  だって冴えない男が高嶺の花に~みたいなストーリーは『ノッティング・ヒルの恋人 』、『 最後の恋のはじめ方』、『 メリーに首ったけ』とか、これまでのラブコメでもあったわけですよ。それなら特筆すべきことじゃない。

  でもこれまでって、結局は「男が“社会的に格上の女”をどう落とすか?」というところに終始するし、あくまでも「男性主導」の恋愛ハウツーからは抜けられなかった。

  ロング・ショットはかなりシンプル。じつは二人は幼なじみで惹かれあっていて再会・・・という在り来りな設定が良い。

   そう、話としてはめちゃくちゃシンプルなんですよ。王道と言っていい。 

   冴えない男が良い女に見初められてリッチになれて生まれ変わってラッキー!という話じゃない。

   ただの、ほんとうにただの恋愛映画。

               

                                            
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  タイトル『  ロング・ショット』は、原題『  LONG SHOT』のまま。意味的には「被写体とカメラの距離が非常に遠いショット」で、べつに「大穴」とかいう解釈しなくていいと思うよ。だって何回も言うけど、これはセス・ローゲンシャーリーズ・セロンを落とす映画じゃない。立場の違う、要するに「距離」のあるふたりが必然的に恋に落ちる映画、2020年における『 ロミオとジュリエット 』であり『 狂四郎2030』。

  というか、タイトルはもしかして下ネタか?(精子ぶっ飛ぶシーン )  ダブルミーニングか?だとしたらそれはそれで上手いです・・・

 

 

                                                      👼🏼

 

 

  さっき“冴えない男が高嶺の花に~みたいなストーリー”として『ノッティング・ヒルの恋人 』や『  メリーに首ったけ』とか例に挙げたけど、本作においてはセス・ローゲンがオナニーして精子が自分の顔についちゃうシーンなんて誰もがラブコメ映画のクラシック『 メリーに首ったけ』を思い出したと思う。シャーリーズ・セロンが大統領選出馬表明の会見で恋愛を告白するシーンなんてそれこそ『 ノッティング・ヒルの恋人』!!意識的に、過去の“ 格上女を落とす系映画”をオマージュしつつ、“じゃない方 ”ということを印象づけてる。

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  ところで『 メリーに首ったけ 』みたいな下ネタ満載映画と、上品な『 ノッティング・ヒルの恋人』のイメージが、マッチするのか?というところだけど、ここのブレンドも上手い。下ネタは流石に多いけどそれでゴリゴリ引っ張ることなく、あくまでサラッとクールに流してしまうし、シャーリーズ・セロンのエレガントさにはうっとりする。

 

 
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  じゃあ、セス・ローゲンのシンデレラストーリーなのか?というとそれも違うのがミソ。

   セレブなシャーリーズ・セロンに出会って恋をしても、セス・ローゲンは生まれ変わらない。序盤で、シャーリーズ・セロンに呼び出されたセス・ローゲンを友人が見送るシーンで(迎えに来た車に飛び乗って国務長官の執務室に向かうなんてマジでお姫様がカボチャの馬車に乗るみたいな構図なんだけどさ)、友人の「生まれ変われ!」という台詞に対して「生まれ変わったら意味無い!」と返す、そこからもわかるとおり。

  そして、ラスト近くで、「自分を変えて彼女と一緒にいるか」という究極の選択を突き付けられた時のことも。 

  かなり強情でプライドの高いところはあるけれど、(そして終盤では彼女のためにそのプライドをおるべきか揺れる場面もあるが・・・) あくまでも彼が根本的には変わるということは最後まで無い。学んだり成長したりすることと、変わってしまうことは違う。

  シンデレラストーリーといえば『 プリティ・ウーマン 』なわけだけど、これに関しては、ジャケ写すら出てくる。(まさに『 プリティ・ウーマン』のサントラをかけて、二人がダンスするシーン!)   サントラにここまで語らせるなんて。

It Must Have Been Love

It Must Have Been Love

 

 

                                                    🧸

 

 

  男性主導の恋愛ハウツーものでもなく、女性主導の「セス・ローゲンのシンデレラストーリー」でもなく、あくまでもピュアなふたりがシンプルに恋愛をする映画。(セックスもふたりともピュアすぎてウケる)

そこで二人を隔てる障害としてでてくるのが仕事であり政治 (というか政治モノでもないので「世間体」をうつす鏡として。何度も繰り返し「国民からの好感度調査」がでてきたりする。)。政治や仕事に絡めて、スルーできない部分、女性の社会進出を真っ向からテーマにしてしまう。そう、これはフェミ映画(という言い方もどうかと思うけど)でもあるわけです。

 

                                                        🍭

 

   世間体?価値観?倫理観?それってなんなのか?誰が決めたのか?

   恋愛というテーマをとびこえて、性差別、人種差別、マスコミによる価値観の押し付け(テレビのバラエティでの差別的発言や大手メディアの影響力)までに、この問は及ぶ。

   というかそこまで絡めていかないと、ふたりの関係の答えにたどりつけない。

 今まで「恋愛映画」にはあらかじめ決められた変えられない枠組みがあった、女の子は男の子に見つけてもらって、変えてもらうし、仕事より恋愛選んで当然だったしセックスでは気持ちよくしてもらって・・・

 そんなクソくだらない枠組みそのものを変えてくれる、うわ、2020年じゃん、やばい。

   

 

  てゆか、セックスしてて女の子が  「ごめんね、いつもはもっと長くできるんだけど・・・!」なんて言ったり、  「仕事でもベッドでも女王様でごめん!」て言っちゃう映画いままでありましたかって話。ウケるけどたまらん、こういうの嬉しいな。

  

 


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    ところで、わたしセス・ローゲン大好きなんやけど、監督ジョナサン・レヴィンは過去作『 50/50』でも『 ナイト・ビフォア』でもセス・ローゲン(と、ジョセフ・ゴードン=レヴィット。今回はジョセフでないけど!)を主演/準主演にもってきてる。まじで我らのセス・ローゲンを魅力的に撮ってしまう天才なんですわ。

 あと、サントラがすこぶる良いのと、パーティーシーンが超楽しそうなのと、親友ポジションの奴が泣かせてくるのも(これぜんぶ今回も!)お約束やね。好きです。

 

 


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  これだけブワッと問いを広げておいてラストまとめるの上手すぎか? おいディズニーか?(ある意味MARVELなオチはある)という、ラブコメの醍醐味的な大団円にニヤける。

    ブコメは最高だよやっぱ!

    まだ劇場で公開中なので、ぜひ。

 

    ついでに監督ジョナサン・レヴィンの作品をゴリ推しのわたしからは『 50/50』もおすすめしたいです、下ネタと軽いノリで引き込んでおいていつの間にかこんなにも泣かせてくるなんてありか?ってやつ。こちらもセス・ローゲンが泣かせてくる。未鑑賞の人は是非。

  

                                                        💫

 

 

  ちなみに、今回ね、ドラマ、フレンズのフィービー役、リサ・クドローがフィービーぽい( )キャラでチラッとでてたり、本人役のリル・ヨッティもキュートで嬉しい!

 

 

 

                                   💋💋💋おわり💋💋💋

 

『ロング・ショット 』とにかくサントラだけでも気持ちよくなれるので聴けな。

Close to Me

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